サークルを食う

生後2ヶ月のかわいい仔犬に、かわいい白い木製のサークル。
つくしの前に、賢いけれども真っ黒で写真写りの悪い大型犬を飼っていた私は、
ウキウキで小さな白い仔犬にぴったりのラブリーな木製サークルを買いました。
夢いっぱいの飼い主。
「ほぅら、おいで、つくし!だめだよぉ、ほっぺなめちゃあ。」なーんていう妄想は
やって来た次の日に大きく裏切られました。

ヤツは元気の塊(かたまり)だったのです。
走り出したら止まらず、呼んだら私にドーンとぶつかって止まる。
撫でようとすると手をかじる。服をかじる。視力がまだ発達していないのか、
ボールなどのモノで遊ばない。
家族みんなの手は傷だらけになりました。
そう、来た次の日から厳しいしつけモードに突入したのでした。
かわいいワンコとのドリーミンライフ・・・。それはたった一日だけでした。
(初日は寝てただけだけど)

とりあえず何でもかむ。力いっぱいかむ。
1回かみだすと、形が無くなるまでとことんかむ。
そして仔犬の歯は小さく鋭い。
出られるはずの無いサークルから脱出し、部屋中を荒らしまわったのは
つくしがやって来て5日目のことでした。

私は自分の目を疑いました。
木製の柵が2本無くなっていたのです。
柵のあったはずのところには、砕け散った木のチップが。
燻製したら、燻製チップに使えそうなぐらい細かくかみ砕かれていました。
その大きくなった隙間から、ヤツは出たのです。
板をあてがったりして、その場しのぎを何回かしていましたが、
一日1本〜2本ずつかじられては無くなっていく白い柵たち。
「サークル」ではなく単なる「枠」と成り果てるまで、
そんなに時間は掛かりませんでした。
さようなら、かわいい私の白い木製のサークル。
さよなら、私の甘い夢。
ドアのフックは赤だったね。
合掌---------。